この記事を書いた人

日本糖尿病学会専門医、日本内科学会認定医の資格を持ち、医師として約18年医療現場に立つ。
特に糖尿病の分野に力をいれており、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの慢性代謝疾患の診療を得意としている。2026年5月に美濃加茂市でクリニックを開業予定。
目次
高血圧症とは?その原因と判断基準
高血圧症とは、安静時でも血圧が基準値より高い状態が続くことをいいます。
主に次のような原因が挙げられます。
- 塩分の多い食事
- 運動不足
- 喫煙や飲酒
- ストレス
- 遺伝的要因
なお、現在の高血圧症の判断基準は、診察室での血圧が収縮期(上)140mmHg以上、または拡張期(下)90mmHg以上です。家庭で測定する場合は、少し厳しめに135/85mmHg以上が目安になります。
高血圧症には、原因をひとつに定めることのできない本態性高血圧とホルモンの分泌異常など原因が明らかな二次性高血圧に分類されます。
本態性高血圧は遺伝的素因、食塩の過剰摂取、肥満などのさまざまな要因が組み合わさって発症します。日本人の高血圧症のうち約8〜9割が本態性高血圧とされています。
二次性高血圧は、血圧を上昇させるホルモンの分泌過剰、他の病気のために使っている薬などが原因となって起こる高血圧で、原因を明らかにして取り除くことができれば血圧の正常化が期待できます。
急に血圧が上がったときの症状とは?
普段は正常でも、疲労やストレス、気温の変化などが引き金となって急に血圧が上がることがあります。そのようなときには、次のような症状が出ることがあります。
- 頭痛、特に後頭部が重く感じる
- 顔のほてり
- 動悸
- 吐き気やめまい
- 耳鳴り
こうした症状がある場合は、早めに血圧を測定し、必要であれば受診することが大切です。
高血圧症の治療法と薬について
高血圧症の治療は、まず生活習慣の改善から始まります。塩分を控え、野菜を多く取り入れたバランスのよい食事や、ウォーキングなどの適度な運動、禁煙・節酒などが基本です。
それでも血圧が十分に下がらない場合は、高血圧症の薬による治療が行われます。主な薬には以下のような種類があります。
- Ca拮抗薬
- ARB・ACE阻害薬
- 利尿薬
- β遮断薬
どの薬を使うかは、年齢や合併症の有無に応じて医師が判断します。副作用や飲み合わせの管理も重要なポイントです。
血圧が高いときの過ごし方
日常生活では、次のような点を意識するとよいでしょう。
- 朝の血圧測定を習慣にする(起床後1時間以内、排尿後、朝食前)
- 塩分は1日6g未満を目安に
- 寒暖差に注意(特に冬場の浴室やトイレ)
- ストレスをためない
- 夜更かしを控え、睡眠をしっかり取る
血圧が高い時の過ごし方を意識することが、合併症の予防にもつながります。
放置すると怖い合併症とは
高血圧症を放っておくと、次のような重大な合併症を引き起こすリスクがあります。
- 脳卒中(脳出血・脳梗塞)
- 心筋梗塞・心不全
- 腎不全
- 動脈瘤や動脈硬化
脂質異常症(コレステロール値の異常)を合併している場合は、さらにリスクが高くなるため、定期的な検査と管理が必要です。
まずは自分の血圧を知ることから
「なんとなくだるい」「最近疲れやすい」――そんな時こそ、一度血圧を測ってみてください。高血圧症は早期発見・早期対処がカギです。
当院では、生活習慣のアドバイスから薬物治療の管理まで、ひとりひとりに合ったサポートを行っています。また二次性高血圧の発見にも努めております。
ご自身やご家族の血圧が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。